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  Art & Culture
Twist & Shout สุก-ดิบ อาทิตย์อุไทย「Twist & Shout」展に寄せて

日本とタイは、ある意味で相思相愛の関係にあるといえる。タイでは私たちが想定している以上に日本のアニメ、マンガ、音楽などの若者文化が受容され、人気を博している。そして日本では、ストレスの多い競争社会に疲れ果て、「マイペンライ」の国タイに魅了されて移り住む、いわゆる「外こもり」と呼ばれる人々がいることが広く知られている。日本と特別な関係にあるこのタイで、初めて日本の現代作家たちを体系的に紹介しようとするとき、日本現代美術の諸相のどのような面を切り取って示せばよいか、私たちは議論を重ねた。その結果、アニメ、マンガといった日本のポップ・カルチャーからの影響を色濃く受けていながらも、そこに現在の日本を生きることへの精神的葛藤が透けてみえるような作家たち、またそうした状況に向き合い、その閉じた場から抜け出して、再び現代における人間性を取り戻そうと奮闘する作家たちを紹介しようということになった。それが本展のタイトル、「Twist(ねじれ)&Shout(叫び)」の由来である。

"GIANT TORAYAN" © YANOBE Kenji

諸外国の中でも特にバンコクに多いといわれる「外こもり」は、「ひきこもり」の一種であるといわれるが、実際には外国で生活するにはある程度のコミュニケーション能力が必要であり、彼らの中には現地の人々や友人・知人との交流を重視する者も多いというから、単純にそうともいえないだろう。それはさておき、「ひきこもり」は一見将来性や生産性の乏しいネガティブな言葉のように聞こえるが、現在の日本には「ひきこもり的想像力」とでも呼べるような、極度に内向的で現実感が欠如しているがゆえに、却って自在に空想を羽ばたかせ壮大な世界を作り上げる、純度の高い創造性がある。彼らは奇妙に捻れた現在の社会を鋭敏に感じ取り、禍々しいほどの想像力でそれを可視化していく。ヤノベケンジ(1965-)の制作の原点は、幼い頃アニメやマンガ、SF映画に親しむ中で育まれた、誇大妄想狂的ともいえる豊かな想像力にある。ヤノベは1990年代初頭より、「サヴァイバル」をテーマに実際に装着したり動かしたりできるロボットのような作品を多数制作し始めたが、それは90年代の「冷たい戦争」を背景にした核への恐怖から出てきたものであった。そのヤノベの妄想世界に変化をもたらしたのは、1986年の原子炉融解事故後のチェルノブイリへの旅である。現実の過酷な現状を前に、ヤノベの制作のテーマは「サヴァイバル」から「リヴァイバル」へと変わる。悲惨な状況の中でも、人々が希望を見出せるように。それ以降、実父の腹話術人形を基にした、放射能防御服を着たバーコード頭にチョビ髭姿の「トらやん」が、ヤノベの世界の中で跳梁跋扈するようになる。本展では、子どもたちを守るべく子どもの声だけに反応する、高さ6メートルもある巨大マシーン《ジャイアント・トらやん》、そして環境汚染後の増殖した突然変異体(ミュータント)のようにもみえる、小人のように小さなトらやん達が登場する。かわいくてちょっぴり不気味なトらやんは、ときにユーモアを与え、ときに警告を発しながら、よりよい未来を作るためともに手を取ることを示唆する。会田誠(1965-)は、マンガやアニメにおける美少女や、末期資本主義の欲望の渦巻く街の風景を描き出し、現代の日本が抱える精神的病巣を、ユーモアとシニシズムとともに伝える。本展では、手首の自傷行為の跡をみせながらにっこりと微笑む女の子を中心に、アニメキャラクター、紙幣、団地、ラーメンなどがコラージュされた巨大な作品を展示する。商売繁盛を願う日本の伝統的な装飾品、「熊手」の形をしたそれは、資本主義社会における欲望とそこに潜む幼児性をポップに浮かび上がらせる。

そして「アニメ・マンガ的想像力」とは対照的な形で、現実の社会と向き合い、人々とコミュニケーションを取ることで、いまでは見えにくくなってしまった共同体や魂を浮き上がらせ、現在における人間性を再び見直そうとする作家たちがいる。志賀理江子(1980-)は、バンコクの街で多く見かける二人乗りのバイクの恋人たちと接触し、彼らを多数カメラに収めた。恋人たちは、運転する男は正面を向き、男に抱きつく女だけがこちらをみつめる。疾走するバイクからこちらに投げ掛けられる刹那の視線。志賀の写真は時代を超えたラブストーリーのようであり、現代社会が失ってしまったかにみえる普遍的な情熱を鮮やかに蘇らせる。高嶺格(1968-)は、今年の夏上演した舞台から、他者に対する意識、人生観などを含め、日本人とタイ人との差異とそれを超えた相互理解について考え続けているが、本展ではそうした経験が基となった新作インスタレーションを制作する予定である。

(豊田市美術館 能勢陽子)

"I watched onluy the television, so I became foolish" © Nobi - ANIKI
"Teenage Fan Club #24" © Teppei Kaneuji
"Blind date...don't smile, just look at me." © SHIGA Lieko
"Untitled" © Yamamoto Keisuke
   
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